大切にしていること

大切にしていること

チリントゥでは、デザインから染め上げるまでの紅型工程全てを一貫しておこなっています。
手作業によりはじめから終わりまでひとりの制作者が責任をもち、常に高いクォリティーをめざして制作を続けています。
そんな中でもとくに大切にしている部分とは…

すべてが伝統的手法

当工房で制作するものは全て紅型の伝統的手法で作られています。それは工程だけにとどまらず、道具に至るまで昔からの手法を取り入れています。取り入れるというよりも、継承しているといったほうが良いかもしれません。というのも、紅型は各工房によってそれぞれ道具なども少しずつ違ってきますので、私の場合は「知念びんがた工房」でのやり方をしていることになります。

この伝統的な手法を全く崩さず大切に守っているのは、お師匠さんが技術だけではなく紅型の歴史も全部ひっくるめて私に伝えてくれたためです。昔からの技術や道具を使うことの背景にある重みを知りました。なので、手間ひまかかる工程も私にとってはどれも省くことのできない大事なものになっています。穏やかな師匠ですが、それでも師匠の背中から言葉の端々から紅型に対しての誇り、尊敬する気持ちを感じていました。

沖縄の工房を離れてからも紅型一筋早十年ですが、技術だけでなくその背景が体に染み込んでいることが、今は私にとって大きなものになっています。

デザイン

チリントゥでは伝統的手法を大切にしながらも、デザイナー戸谷真子独自のデザインを展開しています。

紅型の古典的な柄は、その多くが中国や日本から渡ったデザインが元になっています。異国の文化が交じり合う当時の琉球では、舶来品の模様を染めた紅型は最高のお洒落だったのではないでしょうか。まだ庶民には着用は許されていない時代のことです。
ところが、戦後の沖縄の紅型では沖縄のアイデンティティーを取り戻すべく、それまでになかった沖縄の植物・生き物などがデザインされるようになりました。
私の師匠もそのようなデザインを手掛けだした先駆者のひとりです。
そんな師匠から「あなただけしか作れない紅型をしなさい」と言われたことから、誰もが染められる古典柄ではなく私ならではの紅型を染めていこうと思うようになりました。

京都に移ってからは伝統的な柄から離れ、そのときに感動したこと、大切に思うものなどを自由にデザインしています。そして大切にしているのが「静よりも動」ということ。動きのあるデザインを心がけています。
この「静よりも動」というのは、私の師匠・知念績元先生が最も大切にしていること。
受け継いでいきたいと思っています。
デザインについては、デッサンから始まることもあれば空想をスケッチブックに描いていくことから生まれるものもあります。連続柄であれば、上と下がつながるようにパターンを作っていきます。

下絵ができたら、型紙に写して小刀で彫っていきます。型の面白いところは下絵がデザインの完成ではなく、彫っていく最中にも常に変化し、彫り上げることでさらにデザイン化していくところです。
デザインに限らず色もそうですが、沖縄から離れた私にとっては、オリジナル性を求めるあまり伝統から離れてしまわないかと不安になる部分でもあります。
伝統とオリジナル性のバランスの取り方、常に葛藤もありますが、伝統的な紅型を伝えられる一人になりたいという気持ちも年々強くなりつつあります。

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